星野絢子 日本国際飢餓対策機構 愛知事務所

女性のシェアハウス、グレイスハウス・いりなか(当時)で一番の古株となってしまいました。この2年間、入居者の一人一人がこの家で取り扱われるのを目の当たりにしつつ、互いに沢山の恵みを共有し、磨き合い支え合うことができたことを感謝します。グレイスハウスに入居した経緯、そしてこの家でどのような神様の恵みを受けたのかお証いたします。

私は約2年前、地元栃木から新しい仕事、日本国際飢餓対策機構の働きに就くためにずっとこの家でお世話になっています。当機構にボランティアとして長く関わってくださっている石橋憲さん(グレイスハウス現代表)の紹介で入居することになりました。しかし、実はさらに2年前、ある方から紹介されて、創設者の石原和恵さんと1度だけメールのやり取りをしたことがあったのです。私も和恵さんと同様に中国に長く駐在した経験があり、和恵さんのメールアドレスを教えていただいたのです。早速メールを送るとすぐに「今、名古屋でクリスチャンのシェアハウスを立ち上げようと思っている、名古屋に来たら会いましょう」という文面のメールが届きました。しかし、互いに忙しく、メールはたった一度きりになっていました。当時、まさか自分が名古屋の地に移り、そのシェアハウスに住むことなど想像すらしていませんでした。

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私にとって名古屋は初めての地で、知人もおらず、来る前は本当に不安だらけでした。何が一番不安だったかというと、互いに信仰を支え合えるクリスチャンの友ができるか、ということでした。学生時代に洗礼を受けましたが、中国での駐在約7年半の間に教会からも神様からもすっかり離れることになりました。この世の楽しみに浸かる反面、心の底では「これから先の人生、何も良いものがない」と感じていました。しかし背後の沢山の祈りにより、2011年4月に帰国してから徐々に教会に戻されることになりました。この経験から、自分の信仰の弱さ、周囲の支えの必要を理解するようになりました。名古屋に来る前に祈りの中で、特に心にとまったのは、「主の山に備えあり」という御言葉でした。その御言葉によって神様は必ず必要なもの全てを備えてくださると確信し、平安のうちに名古屋に来ることができました。そして、グレイスハウスを通して、神様は私に必要なものを完全に備えてくださいました。

新しい地、新しい仕事、なにもかも新しいものづくしの中で、しんどくなるとき、私は本当にここに来てよかったのだろうか?と感じることも沢山ありました。そんな時に支えとなってくれたのが、グレイスハウスでの交わりでした。グレイスハウスでは祈り会やバイブルスタディー、食事会などを行います。そこで、神様の御前でともに賛美し、分かち合い、祈り合うことができたのがなによりの励みでした。また、和恵さんが私たち一人一人を気にかけてくれ、食事や遊びに連れ出して下さったり、祈りで支えて下さいました。

一番大きかったのは、和恵さんも海外経験が長く、私が中国で受けた心の傷を、私以上に理解して涙を流して祈って下さったことです。多分、自分自身が思っていなかったほどにその傷が大きかったのだと思います。祈りによって心がとても軽くなるのを感じました。「神様のご計画は私たちの思いよりはるかに高い」と聖書にある通り、神様は思いもよらない計画を持ってくださっているのだと驚きました。そのように、グレイスハウスに住んでいる一人一人が主に導かれ、この家で神様からの取り扱いを受けているのだと思います。

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今、私は「主の山に備えあり」の御言葉のとおり、一番必要と感じていたもの、主にある兄弟姉妹との交わりを、一番身近な「家」で与えられています。ただ、共同生活ですからもちろん麗しい面ばかりではありません。些細なことにいらつき、相手をさばき、許せない醜さが露わにされてしまうところでもあります。この家を出ようか、と真剣に考えたこともありました。しかし、この2年間をふりかえって思うことは、その自分自身のちっぽけで、汚い部分に気付かされることもまた恵みだということです。自分のどうしようもない小ささに気づき、自分自身がどれほど神様から、そして周囲の人達からも忍耐されているのかを知ることによって、自分自身も周囲の人達を忍耐できるように変えられていきます。互いに愛し合うということについて実生活の中で学ばされています。私は忍耐がなかなかできない人間ですので、ここで忍耐力が磨かれて、足りない品性が練られることを願っています。

グレイスハウスで重視しているのは食事会です。皆で分け合うなかで、料理の腕が格段に上がってきます。入居者の一人は、入居当初全く料理をしたことがなく、一番の心配は自分で料理できるかということでした。しかし1年を経た今では、人一倍料理し、一緒に住む私たちのために分けてくれます。互いに成長を分かち合える、というのも、大きな恵みの一つです。

最後に皆さんにお願いですがぜひ、お祈りしていただきたいことがあります。それはこのグレイスハウスが、ますます互いに愛し合う場へと変えられ、一人一人が神様の身体を成す一つ一つの器官として、結び合わされさらに成長していくことができるように、ぜひお祈りでお支えていただけましたら幸いです。このようなグレイスハウスが各地でおこされ、そこに住む一人一人が主の器として養われていくように願います。